ドクター関口のちょっとセクシーな女子会ブログ

女性医療クリニックLUNAグループ理事長のプログです。健康ネタ、マンガネタバレ、旅行ネタ、歌舞伎ネタが豊富です。

TFSによる骨盤臓器脱手術(4)

(TFSによる骨盤臓器脱手術のメリット)
LUNAで行われているTFSによる骨盤臓器脱手術のメリットは、

・60分〰90分の手術時間
・静脈麻酔併用局所麻酔の手術
・全てのタイプの骨盤臓器脱の治療が、日帰りできる

ということです。
この特徴からTFSによる骨盤臓器脱手術の現在の対象患者は、

1、他院では、まだ手術が必要ではないと説明されているが、
  臓器下垂感・骨盤痛・尿意切迫感・頻尿など症状が著しい2度
  (腟口から出たり入ったりしている状態)の比較的軽症の骨盤臓器脱患者
2、高齢や認知症などにより、
  全身麻酔による手術を断られてしまっている骨盤臓器脱
3、種々の事情により1週間程度の入院ができず、
  日帰り手術を望む骨盤臓器脱患者

等です。
手術成績に関してはすでに論文化しており、
その後さらに手術術式の改良により現在合併症率はさらに低下しています。
骨盤臓器脱は、下垂した部分を修復すると別の部分が下垂してくる
という“もぐらたたき現象”が起こるため、1回目の手術での治癒率は90%です。
10%の症例は、6か月後の再手術を施行します。
再手術後の治癒率は、96%となっています。
(文献)Yuki Sekiguchi,Manami Kinjo,Yoshiko Maeda and Yoshinobu Kubota:
Reinforcement of suspensory ligaments under local anesthesia cures pelvic organ prolapse: 12-month results. Int Urogynececol J(2014) 25:783-789
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TFSによる骨盤臓器脱手術(3)

インテグラル理論に基ずいたTFS骨盤臓器脱手術)
このモデルで、腹圧性尿失禁と子宮脱に関しては、
それぞれ恥骨尿道靭帯と仙骨子宮靭帯(USL)を、
人工物のテープで再補強することにより克服可能となりました。
(Mid-urethral TFSとUSL sling TFS)

しかし過活動膀胱と膀胱瘤に関しては、2つの靭帯の補強だけでは、症状軽快が不十分でした。
ハンモックの布の部分が広すぎて、その部分に天井のハリのような補強をしないと、
症状がコントロールできない症例が多かったのです。

そしてインテグラル理論もバージョンアップ。
膀胱底の部分の補強であるTFS U-SLING と
膀胱と子宮の接着部分である基靭帯部分の補強であるCERVICAK RINGの
手技が加えられました。
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さらに前述の中部尿道を補強する尿失禁手術Mid-urethral TFSと
排便の関わる会陰体補強のperinial TFSを加えて、
5か所のテープによる補強が、
現在のインテグラル理論に基ずくTFS手術の標準術式となっています。
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TFSによる骨盤臓器脱手術(2)

インテグラル理論について)
 P.P.PETROS教授は、TVT手術の開発根拠として
1993年にインテグラル理論を著しました。
この理論の主要な主張は、骨盤底の靭帯と筋膜には、重要な2つの役割がある。
1つ目は、骨盤内臓器の支持であり障害されると骨盤臓器脱となる。
2つ目は、排泄機能である。
障害されると尿失禁、頻尿、排尿困難、骨盤痛等が生じるというものです。
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この理論の中で、重要な役割を果たすのが、恥骨尿道靭帯と仙骨子宮靭帯です。
この2つの靭帯がハンモックの頭側と足側の綱。
腟前壁が、ハンモックの布で、膀胱と子宮はこの上に乗って、
ユラユラ揺れており、このバランスをとっているのが、骨盤底筋群である
というモデルを、P.P.PETROS教授は提唱しました。

このモデルでは、ハンモックの前側が損傷すると、
解剖学的には尿道瘤になり、機能的には、腹圧性尿失禁や便失禁になる。
ハンモックの中央が損傷すると、解剖学的には膀胱瘤が起こり、機能的には排尿困難が起こる。
ハンモックの後側が損傷すると、解剖学的には、子宮脱・小腸瘤・腟断端脱になる。
機能的には、夜間頻尿や骨盤痛になる。
そして前・中央・後側のどこが損傷しても、
最初は、頻尿と尿意切迫が主症状の過活動膀胱が起こると説きます。

そして症状が軽症の場合は、骨盤底リハビリテーション(トレーニング)、
重症の場合は、損傷した靭帯の補強を行います。
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TFSによる骨盤臓器脱手術(1)

(骨盤臓器脱手術の種類)
 現在骨盤臓器脱手術には、3つの系統があります。
①人工のメッシュシートを使用しない従来の手術。
(NMRと総称されます。)
②人工のメッシュシートを経腟的に移植するTVM手術
③人工のメッシュシートを、腹腔鏡下で移植する手術(LSC)
の3つです。
① NMRの利点は、メッシュ露出などの合併症がないこと。
欠点は、再発率が40%前後あることです。
②TVMの利点は、再発率が少ない手術を短時間で行えること。
欠点はメッシュ露出などのメッシュ合併症があること。
③LSCの利点は、直視下でメッシュを移植できるので、
メッシュ移植にともなう合併症が少ないこと。
欠点は、手術時間が長く、
手術中頭低位の体位を長時間維持しなければならないことです。
そして全ての手術が、全身麻酔が必要な手術となります。
 LUNAで施行している手術は、
革命的な尿失禁手術TVT手術の開発者であるP.P.PETROS教授が考案した、全ての操作を膣内だけで行う、
低侵襲な骨盤臓器脱手術、TFS手術で、
静脈麻酔併用の局所麻酔で日帰り手術を行っています。

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ドクター関口の下ネタトリビア(3) ”まったくバイアグラが売れなかった東洋の奇国日本”から”精子力アップ法”まで

さて真面目ネタの間の下ネタトリビアの日です。
本日は、
当院担当のファイザー社の中澤さんに聞いた話です。

中澤さんは、アラフィフなので、
バイアグラ発売年1999年にすでにファイザー社の社員だったとのこと。
とても評判の薬だったので、
当初ファイザー社は、独自の調査を行い売り上げ予想をたてていましたが、
蓋をあけてみると、予想外に売れずその年の業績は下方修正されました。

予想に使用した数字は、各国の男性の年間セックス回数。
昔も今もあまり統計的数字は変わらず
ざっくりフランス男性300回、米国男性150回、日本男性は30回です。
この日本人のセックス回数の少なさは、当時から認識されていたらしいのですが、
セックスしている期間の予想違っていたようです。

フランス人や米国人の統計は、15〰80歳の数字だったようですが、
日本人の数字は、もっと短期間の数字だったようです。
(たぶん20〰60歳以下くらい)

つまり日本人の性生活は、回数も少なく、期間も短かったのです。
理由は、いろいろ考えられていますが、
私が有力と思うのは、
米食説・・・日本人は、米を食べるため、ビタミンEの摂取量が
 多く、生殖能力が高い。それで数少ないセックスで生殖可能。
②参勤交代説・・・江戸時代から生殖を終えた男女は、
 別々に住むようになったため、夫婦間でのセックス回数が減った。
(参勤交代や単身赴任)
③家制度説・・・日本では結婚は家のつながりなので、
夫婦間に性生活があるかどうかは結婚制度維持に関係ないため。
➃長風呂好き説・・・日本人は、熱い風呂に長く入るのを
好む民族。これが精巣にダメージを与えている。

などでしょうか。

長風呂で思いだしましたが、
先々週くらいにNHKで”精子クライシス”という番組が放映されました。
順天堂大学の堀江教授や、独協大学越谷病院の岡田教授が出演して
日本男子の精子力が低下していることを訴えておられました。

そして最後に精子力アップ7ヶ条を提示していました。
活性酸素除去
→①軽めの運動
 ②禁欲しない
 ③亜鉛の摂取
テストステロンアップ
→➃体重管理
 ⑤質の高い睡眠(7時間程度)
その他
 ⑥ 長風呂・サウナを避ける
 ⑦びっちりした下着をはかない

なるほど~
息子には、トランクスかふんどしをすすめたほうがいいかも〰。
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骨盤臓器に対するペッサリーリング自己着脱管理法(3)

(リング自己着脱のポイント)
自己着脱のポイントは、
最初は、リングに糸をつけて引き出しやすくすることです。

さらに小さめのリングからフィテングを開始し、
脱落等があれば、4週間ごとにサイズをアップし適切なサイズを決定します。
リングの管理は、
週2~3回くらいリングを就寝前に膣からはずし、
洗浄したのち1度乾燥させ、翌朝自分でリングを装着させます。

しかし軽症の場合、
外出する時や、長時間の立ち仕事がある時のみリングを装着する場合もあります。
リングは、膣口から縦にして挿入すると膣内部で横になるので、
肛門方向に向かってさらに少し押し入れるように指導します。
骨盤臓器脱が補正されていて患者に膣内違和感がなければ、
数日以内に取り外しますので
どこにはいっていてもあまり気にしなくてもよいのです。

LUNAでは、リング自己着脱マニュアル、
リング自己着脱のビデオを作製し、患者指導に利用しています。

ビデオに関しては、you tubeにアップしています。
骨盤臓器脱” “リング” “自己着脱”というキーワードで検索できます。
(How To 自分で出来る!リングペッサリー自己着脱法:
https://www.youtube.com/watch?v=Lo7RddtnREw&t=37s )
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(LUNAが誇るリング自己着脱率)
 LUNAでは、骨盤臓器脱へのリングの自己着脱管理を積極的にすすめています。
開業直後の2006年でも自己着脱率は85%となかなかの数字でしたが、
ビデオ導入後の2016年には、自己着脱率は96%に上昇しました。

骨盤臓器脱に対するリングペッサリー自己着脱管理法は、難しいものではありません。
老眼鏡や入れ歯と同じようにだれでもできる、老化に対する対処法です。

この治療法で、生活の質が充分に保たれる場合は、
自己着脱管理でずっと過ごしてもかまいません。

しかしこの自己着脱法では80%以上の生活の質の担保ができない場合は、
LUNAでは積極的にTFSによる骨盤臓器脱の
日帰り低侵襲手術をお勧めしています。
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骨盤臓器に対するペッサリーリング自己着脱管理法(2)

(リング自己着脱のメリット)
リングの自己着脱のメリットは、患者さま側にも医師側にもあります。
患者さま側のメリットとしては、
感染やびらんが少ないので、6か月に1回の通院でオーケーということが一番大きいでしょう。
さらにリングを取り出してセックスもできますし、
お出かけや長時間の立ち仕事の時だけリングを装着するというように、
必要時だけ使用するという自由な使い方ができることもメリットの一つです。

医師側のメリットとしては、
感染やびらんがすくないので、患者が手術を希望したら、
感染やびらんが改善するための待ち時間なく、すぐに手術できることでしょう。
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(リングの種類の増加)
さらに近年では、さらに弾力性に富む
ミレックスリング・膜つきリング・ノブ付きリング・ゲルホーン型リング・キューブ型リング
と次々と種々のリングが使用できるようになり、
リングの自己着脱が可能な患者が増加しています。
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