ドクター関口のちょっとセクシーな女子会ブログ

女性医療クリニックLUNAグループ理事長のプログです。健康ネタ、マンガネタバレ、旅行ネタ、歌舞伎ネタが豊富です。

TFSによる骨盤臓器脱手術(2)

インテグラル理論について)
 P.P.PETROS教授は、TVT手術の開発根拠として
1993年にインテグラル理論を著しました。
この理論の主要な主張は、骨盤底の靭帯と筋膜には、重要な2つの役割がある。
1つ目は、骨盤内臓器の支持であり障害されると骨盤臓器脱となる。
2つ目は、排泄機能である。
障害されると尿失禁、頻尿、排尿困難、骨盤痛等が生じるというものです。
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この理論の中で、重要な役割を果たすのが、恥骨尿道靭帯と仙骨子宮靭帯です。
この2つの靭帯がハンモックの頭側と足側の綱。
腟前壁が、ハンモックの布で、膀胱と子宮はこの上に乗って、
ユラユラ揺れており、このバランスをとっているのが、骨盤底筋群である
というモデルを、P.P.PETROS教授は提唱しました。

このモデルでは、ハンモックの前側が損傷すると、
解剖学的には尿道瘤になり、機能的には、腹圧性尿失禁や便失禁になる。
ハンモックの中央が損傷すると、解剖学的には膀胱瘤が起こり、機能的には排尿困難が起こる。
ハンモックの後側が損傷すると、解剖学的には、子宮脱・小腸瘤・腟断端脱になる。
機能的には、夜間頻尿や骨盤痛になる。
そして前・中央・後側のどこが損傷しても、
最初は、頻尿と尿意切迫が主症状の過活動膀胱が起こると説きます。

そして症状が軽症の場合は、骨盤底リハビリテーション(トレーニング)、
重症の場合は、損傷した靭帯の補強を行います。
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