関口由紀のブログ

女性医療クリニックLUNAグループ理事長のプログです。健康ネタ、マンガネタバレ、旅行ネタ、歌舞伎ネタが豊富です。

骨盤臓器に対するペッサリーリング自己着脱管理法(1)

(骨盤臓器脱とは)
骨盤臓器脱は、主に妊娠・出産による
骨盤底の靭帯や筋膜の損傷を遠因とする
膣内へ小骨盤内臓器が垂れ下がり、
最終的には、腟外へ飛び出してくる疾患の総称で、
膀胱瘤・子宮脱・直腸瘤・腟断端脱などの、
下垂先端がどの臓器かで、呼び名が変わります。f:id:sekiguchiyuki:20180802133542j:plain

(骨盤臓器脱の治療の歴史)
 骨盤臓器脱に対するペッサリーの
自己着脱管理に関しては、
欧米では、ペッサリーの記述のあるギリシャ時代から、
自己着脱が基本であったと予想されます。
しかし日本に、ペッサリーによる骨盤臓器脱の保存療法が
輸入された直後から、
医師によりペッサリーの留置と管理に変わったと予想されます。
それは、私が知る限りでも、2〰30年前の婦人科外来では、
固い黒の塩化ビニールのマイルス(氏)リングペッサリーを
留置された患者が、3〰4か月ごとに
膣洗浄にやって来るという風景が普通に見かけられたからです。
この際リング管理は腟から取り出されることはなく、
クスコ(腟鏡)で腟前壁と腟後壁のびらんを
チェックするのみでした。
そしてこのリング管理法では、
リングが後腟円蓋(子宮膣部の裏)に迷入していまい、
取り出せなくなってしまうことがよく起こりました。
そのため固い塩化ビニールのリングを切断して、
腟から出すためのペンチが、産婦人科外来には、
常備されておりました。
そして私が、女性泌尿器科医をこころざして、
一人で行った1990年代の米国婦人泌尿科学会では、
リングが、自己管理できない少数の患者に関しては、
最低2か月に1回のリングを腟からだして
腟を洗浄することという議論があって、
そうかアメリカでは、リングを自己着脱管理するのが、
普通なんだと知ったのです。
(骨盤臓器脱治療の基本)
 日本でも、その後白のソフトな塩化ビニール製の
マイルスリング(ウヲーレスリング)が登場し、
リング自己着脱管理の条件がそろいました。
そして最近の骨盤臓器脱の管理に関しては、
まずは骨盤底トレーニングと脱の自己還納・便秘の管理が行われ、
それで下垂感が解消しない場合は、
リングの自己着脱管理の指導が行われます。
リングの自己着脱管理でも、充分に患者さまの疾患満足度が
上昇しない場合は、手術療法が行われます。
また自己着脱管理ができず、手術もできない場合に、
リングの留置管理が行われます。
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