関口由紀のブログ

女性医療クリニックLUNAグループ理事長のプログです。健康ネタ、マンガネタバレ、旅行ネタ、歌舞伎ネタが豊富です。

頻尿・尿漏れ・下腹部痛医療。この10年の変化

おおげさな題にしたけれど、
前回の患者向けの尿漏れの治療の本の出版から
たまたま9年経って、
新刊を出すことになったという話です。

以前は5年に1回くらい、
尿漏れや頻尿の総合的な患者向け本を出そうと努力していたんです。

セックス系の本骨盤底トレーニングに特化した本は、
一刷5000部で、二刷に行くことが多いんですが、
手術や薬物療法を含めた尿漏れ治療の総合本は、
3回トライして、いずれも二刷に到達しなかったため
やややる気をなくしていたところ・・・
PHPさんからお誘いをいただき執筆となりました。

9年前とは、薬がずいぶんかわりました。
以前はなかったベタニスが、
今では高齢女性の過活動膀胱の第一選択薬になっています。
磁気刺激療法や仙骨刺激療法は健康保険が通り、
ボトックスの膀胱注射療法も健康保険が通りそうです。

間質性膀胱炎を含む慢性疼痛の分野では、
サインバルタ、リリカ、トラムセットなどの薬が発売され、
ずいぶん治療しやすくなりました。

腹圧性尿失禁の手術に関しては、
TFSをはじめとするミニスリングが
世界的にずいぶん行われるようになってきてますが、
いまだTVT、TOTは、手術法として健在。
腟からいろいろなエネルギーを入れる治療が、
この10年に色々でてきましたが、
テープによるスリング手術は王者をゆずっていません。

骨盤臓器脱の手術は、
経腟メッシュ手術に対するアメリカ食品医薬品局の警告から
アメリカでは、経腟メッシュ手術はすっかり下火になってしまい、
そのかわり腹腔鏡によるメッシュ移植術が流行り今に至っています。
経腟メッシュ手術をしていた先生の多くは、
30~40歳の手習いで腹腔鏡をはじめています。
ルナは、施設的に腹腔鏡手術が導入できないということもありますが、
経腟メッシュ手術の1つである
TFS手術を、業界の流れに反してまだ粛々と施行しています。

経腟メッシュ手術が全盛だったころから、
メッシュテープを、局所麻酔+静脈麻酔で入れるTFS手術は、
メッシュシートを入れるTVM手術より
低侵襲であることを売りにしていました。
全身麻酔ができない高齢者の方
・日帰りで家に帰りたい忙しい方

尿失禁や骨盤臓器脱の手術法として
今後も生き残っていこうと思っています。


さて最後に残った女性性機能障害ですが、
ここ10年は無風でしたが、
海外では大きな波が起こっており、
次の10年は大変革が起きそうです。
楽しみです。