関口由紀のブログ

女性医療クリニックLUNAグループ理事長のプログです。健康ネタ、マンガネタバレ、旅行ネタ、歌舞伎ネタが豊富です。

女性医療クリニックLUNA 横浜元町の婦人科の5つの特色 ―漢方・不妊治療・慢性骨盤痛症候群・骨密度・乳腺との同時検診―

みなさんこんにちは、
現在横浜地区のLUNAは、お引越しの最中です。
9月2日午後内覧会
9月3日スタートです。
今回は、早々に2階部分の
女性医療クリニックLUNA横浜元町のご案内です。
こちらは、主に婦人科・乳腺科を担当しますが、
その診療には、5つの特色があります。
第1の特徴は、患者さんが希望すれば、
漢方薬による治療を受けることができることです。
横浜地区の女性医療クリニックLUNAは、
日本東洋医学会の指定研修施設で、
漢方専門医を目指す医師の研修を受け入れています。
そのため全ての医師が、
漢方薬を治療に用いることができるように、
日々精進して漢方医学を勉強しています。
漢方薬は、証と呼ばれる患者さんの体質を類推して処方します。
まずは初診時の診察で証を考えて、
2週間〰4週間分の漢方薬を処方します。
その後は、来院のたびに治療がうまく行っているかを検討して、
漢方薬の種類や量の調整を行い、
もっとも適切な漢方薬を選択していきます。
さらに漢方と併用して鍼灸治療を受けることもできます。

 婦人科漢方のうち、漢方や鍼灸が、
その効果を発揮できるのが更年期障害不妊治療です。
更年期障害の治療には、女性ホルモン補充・漢方治療・
プラセンタ注射・サプリメントアロマセラピー等がありますが、LUNAの婦人科では、医師が患者さんとそれぞれの治療の
メリットとデメリットを相談して、
どの治療から開始するかを決定します。
このうち漢方は、根幹となる治療で
、患者さんの体質に合わせて処方も調整します。
さらにLUNAでは、クリニック内で
子宮・卵管造影検査(ヒステログラフィー)や
精液検査を行えます。
そのため漢方や鍼灸等の東洋医学
西洋医学のいいところを生かした、
不妊治療を提供しています。これが第2の特徴です。

3つ目の特徴は、併設されている
女性医療クリニックLUNA ネクストステージと
連携することにより、原因のはっきりしない、
外陰痛症をはじめとする慢性骨盤痛症候群の治療の
オプションがそろっていることです。
漢方や鍼灸治療・ホルモン治療等をまず行いますが、
これらの治療で、痛み改善度が80%にいたらない場合は、
さらに骨盤底リハビリテーション
慢性疼痛症の治療を受けることができます。
ところで骨盤痛の原因の一つとして、
更年期以降の女性の50%に起こるとされている
GSM(閉経後性器尿路症候群)の関与があることが、
最近わかってきました。
GSMは、閉経後の女性に起こる陰部の粘膜や
皮下組織におこる血流低下等によって起こる
痒み・痛み、頻尿・尿漏れ、性交痛などの症状症候群です。
LUNAでは、GSMの治療にも積極的に取り組んでいます。

第4の特徴は、DEXA法による、正確な骨密度検査を
受けることができることです。
骨粗鬆症は、閉経前後から急速に進行していきます。
そして70歳以降の女性のQOL(生活の質)の低下の原因の多くが、
この骨粗鬆症による痛みです。
LUNAでは、更年期のはやい時期から、
自分の骨の状態を把握して、骨粗鬆症の発生を予防するための、
その後の人生での骨密度管理に関しての
指導を受けることができます。

第5の特徴は、乳腺と卵巣・子宮のレベルの高い検診を
同日に受けることができることです。
乳腺に関しては、マンモグラフィーと乳房超音波検査、
卵巣・子宮に関しては専門医による経腟超音波検査と
子宮頚部・体部細胞診を受けることができます。

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ドクター関口の下ネタトリビア(5)ー 総務部長はトランスジェンダーの著者岡部鈴さんとお食事しましたー

レディースコミックの歴史は
研究中なんですが、
先週お友達の真瑚さんと鈴さんが
クリニックに訪問してくださったので、
そのご報告をします。
お二人と私は、
2年前のソフィア・バンコクという
LGBTの人のタイでの手術のサポートをする
会社のクリスマスパーティーで知り合い、
友達になり、
彼女達が、手術しにタイに行った時に、
タイのガモン病院にお見舞いに行った仲です。
今回は、手術1年目の経過観察で
受診してくれて、その後お食事しました。
その時鈴さんが、サイン付きの著作を
プレゼントしてくれました。
この本は、
鈴さんが、
45歳くらいから
まず女装にはまり、
その後自分のジェンダーが女性であることを
認識し、女性として生活することを決め
実際の行動し、その過程で起きた様々な出来事が
書かれた本です。
女性として生活しようと決意した当時
彼女にはすでに、妻子がいて、
会社では、男性の総務部長として働いていました。
一言で言って
面白い本です。
いっぱい売れると続編がでるそうなので、
みなさんぜひ買ってください。

文中で、
鈴さんは、女性に1mmでも近ずくために、
最大限の努力をしようと覚悟を決めるんですが、
ずいぶん長く、女をしていると
ついついこの気合を忘れているなあと
今回私は、反省しました。
LUNA理念は、
”女性が、いつまでも健康で美しく在ることを
全力でサポートするクリニックをめざす。”
ですが、自分自身も
いつまでも健康で美しく在ること
気合入れてめざします。
ところで、本日から横浜地区のLUNAは、
全館閉店。お引越しです。
新クリニックは、9月2日午後から
内覧会の予定です。
お時間あれば、みなさんお越しください。

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患者の治療感受性を推定するのが、医師の見立てである。 〰女性医療におけるQOL疾患患者(生活の質にかかわる疾患の患者)の治療〰

女性医療の場合、患者さんのほとんどは、
”生死にかかわらない、しかしその症状があると生活の質が著しく低下する”
QOL疾患患者さんです。
そしてこのQOL疾患に関しては、
かなりの確率で、老化やホルモン環境などが症状に影響を与えています。

老化は予防することはできず、
ホルモン環境は、年齢やストレス・季節・気候等で変化しますので、
100%満足する症状改善を得ることは難しい、
と患者さんに納得してもらうのが、医師のする最初の仕事になります。
そして80%の治療満足度をめざすことを、医師と患者間で同意しあうことが大切です。

QOL疾患患者さんには、治療感受性の違いがあります。
個々の患者の治療感受性の違いは結構広いのです。

この治療感受性をスケールで表すと、
中央付近に、通常の教科書的な保存療法で、
80%の治療満足度が得られる患者さんの群があります。
この群の患者さんの人数が一番多いのですが、
それではうまく治療ができない患者さんもいるのです。

右側の先端には、通常の保存療法では治療が弱すぎて、
充分な治療満足度が得られない患者さん達が、位置します。
この辺りの患者さんには、思い切って手術をしたり、
知覚過敏を直すための抗うつ剤の投与が必要です。

一方左の端には、通常の保存治療では、
強すぎて副作用がでてしまうため、治療継続が困難な人々がいます。
この群の人々は、副作用が少ない漢方薬鍼灸治療、アロマセラピーなどの代替医療
さらには抗不安薬などの投与が向いています。
投与法も、最初は極少量から投与を開始し、
すこしずつ通常量へ薬を増加させていくことが必要です。

QOL疾患患者さんが、スケールのどこに位置するかをいち早く推定できるのが、
見立てのいい医師ということになるでしょう。

ここで医師と患者のともに、
リスクとベネフィット(危険度と効用度)の概念の認識が必要です。
右側の治療は、成功すれば、劇的に症状は改善します。

しかし少ない確率ですが、手術の失敗や激しい副作用などが起こることがあります。
一方左側の治療は、副作用は少ないですが、症状の改善度は非常にゆっくりとなります。
場合によっては年単位の治療が必要です。

治療満足度も、なるべく80%になるように目指しますが、
50%前後にとどまってしまうこともあるのです。

女性医療を行う医師とっては、
このリスクとベネフィットの関係を、患者さんに説明し、納得してもらうことも重要な仕事です。
そしてその上で患者さんに、自分で治療を選択してもらうことが非常に重要です。
そのためには、選択可能な治療選択肢を患者さんに、
できるだけ提示することが必要なんです。

女性医療クリニックLUNAでは、
幅広い選択肢を患者さんに提示して、
患者さんに、自ら治療を選んでいただけるように日々努力しています。
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ドクター関口の下ネタトリビア(4) 加藤久美子先生が中学時代に萌えた”金瓶梅”とは?

さて今回は、
泌尿器科医の飲み会の話から始まります。
全ての泌尿器科医の飲み会がいつでもそうだとは言いませんが、
泌尿器科の飲み会の中には、
自分が知っている下ネタ話を披露して喜ぶという会が時々あるんです。

10年以上前の、このような飲み会の時
女性泌尿器科のパイオニア
名古屋赤十字病院加藤久美子先生が、中校生の時に
父親の書棚にあった”金瓶梅”という中国明代の発禁の書を読んで萌えた
という話題がありました。

この本、まあざっくりいうと
西門慶という好色な男とその周囲の女性達の話なんですが、
その性描写や、倫理意識のなさにかなり長く発売禁止になっていた長編小説です。
この西門慶は、
好色の限りを尽くしたあと陰茎持続勃起症になり腹上死するとのこと。
中学生の加藤先生は、セックスをしすぎると持続陰茎勃起症になり死ぬのか
と思ったそうですが、
研修医になり陰茎持続勃起症の原因として白血病があるということを知り、
西門慶白血病で死んだのだろうと納得したとのこと。

この間、記憶の裏をとるために加藤先生にお会いして確認し、
さらに今回のブログ登場の同意をいただいたんですが、
その後本の題名は、
中国古典文学大系(33)金瓶梅だと、連絡をくれました。

でもこの小説かなり長いので、
読もうかどうしようか悩んでいたら、マンガありました。
竹崎真美作 まんがグリム童話 金瓶梅です。

2002年から連載が始まって、
現在36巻の人気のレディースコミックとのこと。
しかしまだ西門慶は、持続勃起症にならず元気に生存中。
レディースコミックにも、
少年漫画や青年漫画のように長期連載になるものがあるんだと知り
すこしうれしく思い、読み始めていますが、
そう簡単に全巻制覇は難しい。

現在5巻読書中レディースコミックですから
性描写はいっぱいあるんですが、
このマンガが長期に人気を博している理由は、
西門慶の第五夫人 金蓮の強烈なキャラクターでしょう。
西門慶をずっと愛して続けているのですが、
他の”時代”や”境遇”に同調的なたおやかな女性達と違い常に本音勝負。
自分の利益が、もっとも大切だということを全面自己肯定。
自分でも、気に入らない他人にはいじわるしますが、
自分がいじわるされた場合は、徹底的に仕返しします。

このある意味一本筋が通っている
タフな女性の生き方にあこがれる女性ファンは多いはず。

レディースコミックにネタがふれてきたので、
次回はレディースコミックの歴史を調べてみたいと思います。
お楽しみに!!
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TFSによる骨盤臓器脱手術(4)

(TFSによる骨盤臓器脱手術のメリット)
LUNAで行われているTFSによる骨盤臓器脱手術のメリットは、

・60分〰90分の手術時間
・静脈麻酔併用局所麻酔の手術
・全てのタイプの骨盤臓器脱の治療が、日帰りできる

ということです。
この特徴からTFSによる骨盤臓器脱手術の現在の対象患者は、

1、他院では、まだ手術が必要ではないと説明されているが、
  臓器下垂感・骨盤痛・尿意切迫感・頻尿など症状が著しい2度
  (腟口から出たり入ったりしている状態)の比較的軽症の骨盤臓器脱患者
2、高齢や認知症などにより、
  全身麻酔による手術を断られてしまっている骨盤臓器脱
3、種々の事情により1週間程度の入院ができず、
  日帰り手術を望む骨盤臓器脱患者

等です。
手術成績に関してはすでに論文化しており、
その後さらに手術術式の改良により現在合併症率はさらに低下しています。
骨盤臓器脱は、下垂した部分を修復すると別の部分が下垂してくる
という“もぐらたたき現象”が起こるため、1回目の手術での治癒率は90%です。
10%の症例は、6か月後の再手術を施行します。
再手術後の治癒率は、96%となっています。
(文献)Yuki Sekiguchi,Manami Kinjo,Yoshiko Maeda and Yoshinobu Kubota:
Reinforcement of suspensory ligaments under local anesthesia cures pelvic organ prolapse: 12-month results. Int Urogynececol J(2014) 25:783-789
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TFSによる骨盤臓器脱手術(3)

インテグラル理論に基ずいたTFS骨盤臓器脱手術)
このモデルで、腹圧性尿失禁と子宮脱に関しては、
それぞれ恥骨尿道靭帯と仙骨子宮靭帯(USL)を、
人工物のテープで再補強することにより克服可能となりました。
(Mid-urethral TFSとUSL sling TFS)

しかし過活動膀胱と膀胱瘤に関しては、2つの靭帯の補強だけでは、症状軽快が不十分でした。
ハンモックの布の部分が広すぎて、その部分に天井のハリのような補強をしないと、
症状がコントロールできない症例が多かったのです。

そしてインテグラル理論もバージョンアップ。
膀胱底の部分の補強であるTFS U-SLING と
膀胱と子宮の接着部分である基靭帯部分の補強であるCERVICAK RINGの
手技が加えられました。
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さらに前述の中部尿道を補強する尿失禁手術Mid-urethral TFSと
排便の関わる会陰体補強のperinial TFSを加えて、
5か所のテープによる補強が、
現在のインテグラル理論に基ずくTFS手術の標準術式となっています。
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TFSによる骨盤臓器脱手術(2)

インテグラル理論について)
 P.P.PETROS教授は、TVT手術の開発根拠として
1993年にインテグラル理論を著しました。
この理論の主要な主張は、骨盤底の靭帯と筋膜には、重要な2つの役割がある。
1つ目は、骨盤内臓器の支持であり障害されると骨盤臓器脱となる。
2つ目は、排泄機能である。
障害されると尿失禁、頻尿、排尿困難、骨盤痛等が生じるというものです。
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この理論の中で、重要な役割を果たすのが、恥骨尿道靭帯と仙骨子宮靭帯です。
この2つの靭帯がハンモックの頭側と足側の綱。
腟前壁が、ハンモックの布で、膀胱と子宮はこの上に乗って、
ユラユラ揺れており、このバランスをとっているのが、骨盤底筋群である
というモデルを、P.P.PETROS教授は提唱しました。

このモデルでは、ハンモックの前側が損傷すると、
解剖学的には尿道瘤になり、機能的には、腹圧性尿失禁や便失禁になる。
ハンモックの中央が損傷すると、解剖学的には膀胱瘤が起こり、機能的には排尿困難が起こる。
ハンモックの後側が損傷すると、解剖学的には、子宮脱・小腸瘤・腟断端脱になる。
機能的には、夜間頻尿や骨盤痛になる。
そして前・中央・後側のどこが損傷しても、
最初は、頻尿と尿意切迫が主症状の過活動膀胱が起こると説きます。

そして症状が軽症の場合は、骨盤底リハビリテーション(トレーニング)、
重症の場合は、損傷した靭帯の補強を行います。
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