ドクター関口のちょっとセクシーな女子会ブログ

女性医療クリニックLUNAグループ理事長のプログです。健康ネタ、マンガネタバレ、旅行ネタ、歌舞伎ネタが豊富です。

患者の治療感受性を推定するのが、医師の見立てである。 〰女性医療におけるQOL疾患患者(生活の質にかかわる疾患の患者)の治療〰

女性医療の場合、患者さんのほとんどは、
”生死にかかわらない、しかしその症状があると生活の質が著しく低下する”
QOL疾患患者さんです。
そしてこのQOL疾患に関しては、
かなりの確率で、老化やホルモン環境などが症状に影響を与えています。

老化は予防することはできず、
ホルモン環境は、年齢やストレス・季節・気候等で変化しますので、
100%満足する症状改善を得ることは難しい、
と患者さんに納得してもらうのが、医師のする最初の仕事になります。
そして80%の治療満足度をめざすことを、医師と患者間で同意しあうことが大切です。

QOL疾患患者さんには、治療感受性の違いがあります。
個々の患者の治療感受性の違いは結構広いのです。

この治療感受性をスケールで表すと、
中央付近に、通常の教科書的な保存療法で、
80%の治療満足度が得られる患者さんの群があります。
この群の患者さんの人数が一番多いのですが、
それではうまく治療ができない患者さんもいるのです。

右側の先端には、通常の保存療法では治療が弱すぎて、
充分な治療満足度が得られない患者さん達が、位置します。
この辺りの患者さんには、思い切って手術をしたり、
知覚過敏を直すための抗うつ剤の投与が必要です。

一方左の端には、通常の保存治療では、
強すぎて副作用がでてしまうため、治療継続が困難な人々がいます。
この群の人々は、副作用が少ない漢方薬鍼灸治療、アロマセラピーなどの代替医療
さらには抗不安薬などの投与が向いています。
投与法も、最初は極少量から投与を開始し、
すこしずつ通常量へ薬を増加させていくことが必要です。

QOL疾患患者さんが、スケールのどこに位置するかをいち早く推定できるのが、
見立てのいい医師ということになるでしょう。

ここで医師と患者のともに、
リスクとベネフィット(危険度と効用度)の概念の認識が必要です。
右側の治療は、成功すれば、劇的に症状は改善します。

しかし少ない確率ですが、手術の失敗や激しい副作用などが起こることがあります。
一方左側の治療は、副作用は少ないですが、症状の改善度は非常にゆっくりとなります。
場合によっては年単位の治療が必要です。

治療満足度も、なるべく80%になるように目指しますが、
50%前後にとどまってしまうこともあるのです。

女性医療を行う医師とっては、
このリスクとベネフィットの関係を、患者さんに説明し、納得してもらうことも重要な仕事です。
そしてその上で患者さんに、自分で治療を選択してもらうことが非常に重要です。
そのためには、選択可能な治療選択肢を患者さんに、
できるだけ提示することが必要なんです。

女性医療クリニックLUNAでは、
幅広い選択肢を患者さんに提示して、
患者さんに、自ら治療を選んでいただけるように日々努力しています。
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ドクター関口の下ネタトリビア(4) 加藤久美子先生が中学時代に萌えた”金瓶梅”とは?

さて今回は、
泌尿器科医の飲み会の話から始まります。
全ての泌尿器科医の飲み会がいつでもそうだとは言いませんが、
泌尿器科の飲み会の中には、
自分が知っている下ネタ話を披露して喜ぶという会が時々あるんです。

10年以上前の、このような飲み会の時
女性泌尿器科のパイオニア
名古屋赤十字病院加藤久美子先生が、中校生の時に
父親の書棚にあった”金瓶梅”という中国明代の発禁の書を読んで萌えた
という話題がありました。

この本、まあざっくりいうと
西門慶という好色な男とその周囲の女性達の話なんですが、
その性描写や、倫理意識のなさにかなり長く発売禁止になっていた長編小説です。
この西門慶は、
好色の限りを尽くしたあと陰茎持続勃起症になり腹上死するとのこと。
中学生の加藤先生は、セックスをしすぎると持続陰茎勃起症になり死ぬのか
と思ったそうですが、
研修医になり陰茎持続勃起症の原因として白血病があるということを知り、
西門慶白血病で死んだのだろうと納得したとのこと。

この間、記憶の裏をとるために加藤先生にお会いして確認し、
さらに今回のブログ登場の同意をいただいたんですが、
その後本の題名は、
中国古典文学大系(33)金瓶梅だと、連絡をくれました。

でもこの小説かなり長いので、
読もうかどうしようか悩んでいたら、マンガありました。
竹崎真美作 まんがグリム童話 金瓶梅です。

2002年から連載が始まって、
現在36巻の人気のレディースコミックとのこと。
しかしまだ西門慶は、持続勃起症にならず元気に生存中。
レディースコミックにも、
少年漫画や青年漫画のように長期連載になるものがあるんだと知り
すこしうれしく思い、読み始めていますが、
そう簡単に全巻制覇は難しい。

現在5巻読書中レディースコミックですから
性描写はいっぱいあるんですが、
このマンガが長期に人気を博している理由は、
西門慶の第五夫人 金蓮の強烈なキャラクターでしょう。
西門慶をずっと愛して続けているのですが、
他の”時代”や”境遇”に同調的なたおやかな女性達と違い常に本音勝負。
自分の利益が、もっとも大切だということを全面自己肯定。
自分でも、気に入らない他人にはいじわるしますが、
自分がいじわるされた場合は、徹底的に仕返しします。

このある意味一本筋が通っている
タフな女性の生き方にあこがれる女性ファンは多いはず。

レディースコミックにネタがふれてきたので、
次回はレディースコミックの歴史を調べてみたいと思います。
お楽しみに!!
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TFSによる骨盤臓器脱手術(4)

(TFSによる骨盤臓器脱手術のメリット)
LUNAで行われているTFSによる骨盤臓器脱手術のメリットは、

・60分〰90分の手術時間
・静脈麻酔併用局所麻酔の手術
・全てのタイプの骨盤臓器脱の治療が、日帰りできる

ということです。
この特徴からTFSによる骨盤臓器脱手術の現在の対象患者は、

1、他院では、まだ手術が必要ではないと説明されているが、
  臓器下垂感・骨盤痛・尿意切迫感・頻尿など症状が著しい2度
  (腟口から出たり入ったりしている状態)の比較的軽症の骨盤臓器脱患者
2、高齢や認知症などにより、
  全身麻酔による手術を断られてしまっている骨盤臓器脱
3、種々の事情により1週間程度の入院ができず、
  日帰り手術を望む骨盤臓器脱患者

等です。
手術成績に関してはすでに論文化しており、
その後さらに手術術式の改良により現在合併症率はさらに低下しています。
骨盤臓器脱は、下垂した部分を修復すると別の部分が下垂してくる
という“もぐらたたき現象”が起こるため、1回目の手術での治癒率は90%です。
10%の症例は、6か月後の再手術を施行します。
再手術後の治癒率は、96%となっています。
(文献)Yuki Sekiguchi,Manami Kinjo,Yoshiko Maeda and Yoshinobu Kubota:
Reinforcement of suspensory ligaments under local anesthesia cures pelvic organ prolapse: 12-month results. Int Urogynececol J(2014) 25:783-789
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TFSによる骨盤臓器脱手術(3)

インテグラル理論に基ずいたTFS骨盤臓器脱手術)
このモデルで、腹圧性尿失禁と子宮脱に関しては、
それぞれ恥骨尿道靭帯と仙骨子宮靭帯(USL)を、
人工物のテープで再補強することにより克服可能となりました。
(Mid-urethral TFSとUSL sling TFS)

しかし過活動膀胱と膀胱瘤に関しては、2つの靭帯の補強だけでは、症状軽快が不十分でした。
ハンモックの布の部分が広すぎて、その部分に天井のハリのような補強をしないと、
症状がコントロールできない症例が多かったのです。

そしてインテグラル理論もバージョンアップ。
膀胱底の部分の補強であるTFS U-SLING と
膀胱と子宮の接着部分である基靭帯部分の補強であるCERVICAK RINGの
手技が加えられました。
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さらに前述の中部尿道を補強する尿失禁手術Mid-urethral TFSと
排便の関わる会陰体補強のperinial TFSを加えて、
5か所のテープによる補強が、
現在のインテグラル理論に基ずくTFS手術の標準術式となっています。
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TFSによる骨盤臓器脱手術(2)

インテグラル理論について)
 P.P.PETROS教授は、TVT手術の開発根拠として
1993年にインテグラル理論を著しました。
この理論の主要な主張は、骨盤底の靭帯と筋膜には、重要な2つの役割がある。
1つ目は、骨盤内臓器の支持であり障害されると骨盤臓器脱となる。
2つ目は、排泄機能である。
障害されると尿失禁、頻尿、排尿困難、骨盤痛等が生じるというものです。
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この理論の中で、重要な役割を果たすのが、恥骨尿道靭帯と仙骨子宮靭帯です。
この2つの靭帯がハンモックの頭側と足側の綱。
腟前壁が、ハンモックの布で、膀胱と子宮はこの上に乗って、
ユラユラ揺れており、このバランスをとっているのが、骨盤底筋群である
というモデルを、P.P.PETROS教授は提唱しました。

このモデルでは、ハンモックの前側が損傷すると、
解剖学的には尿道瘤になり、機能的には、腹圧性尿失禁や便失禁になる。
ハンモックの中央が損傷すると、解剖学的には膀胱瘤が起こり、機能的には排尿困難が起こる。
ハンモックの後側が損傷すると、解剖学的には、子宮脱・小腸瘤・腟断端脱になる。
機能的には、夜間頻尿や骨盤痛になる。
そして前・中央・後側のどこが損傷しても、
最初は、頻尿と尿意切迫が主症状の過活動膀胱が起こると説きます。

そして症状が軽症の場合は、骨盤底リハビリテーション(トレーニング)、
重症の場合は、損傷した靭帯の補強を行います。
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TFSによる骨盤臓器脱手術(1)

(骨盤臓器脱手術の種類)
 現在骨盤臓器脱手術には、3つの系統があります。
①人工のメッシュシートを使用しない従来の手術。
(NMRと総称されます。)
②人工のメッシュシートを経腟的に移植するTVM手術
③人工のメッシュシートを、腹腔鏡下で移植する手術(LSC)
の3つです。
① NMRの利点は、メッシュ露出などの合併症がないこと。
欠点は、再発率が40%前後あることです。
②TVMの利点は、再発率が少ない手術を短時間で行えること。
欠点はメッシュ露出などのメッシュ合併症があること。
③LSCの利点は、直視下でメッシュを移植できるので、
メッシュ移植にともなう合併症が少ないこと。
欠点は、手術時間が長く、
手術中頭低位の体位を長時間維持しなければならないことです。
そして全ての手術が、全身麻酔が必要な手術となります。
 LUNAで施行している手術は、
革命的な尿失禁手術TVT手術の開発者であるP.P.PETROS教授が考案した、全ての操作を膣内だけで行う、
低侵襲な骨盤臓器脱手術、TFS手術で、
静脈麻酔併用の局所麻酔で日帰り手術を行っています。

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ドクター関口の下ネタトリビア(3) ”まったくバイアグラが売れなかった東洋の奇国日本”から”精子力アップ法”まで

さて真面目ネタの間の下ネタトリビアの日です。
本日は、
当院担当のファイザー社の中澤さんに聞いた話です。

中澤さんは、アラフィフなので、
バイアグラ発売年1999年にすでにファイザー社の社員だったとのこと。
とても評判の薬だったので、
当初ファイザー社は、独自の調査を行い売り上げ予想をたてていましたが、
蓋をあけてみると、予想外に売れずその年の業績は下方修正されました。

予想に使用した数字は、各国の男性の年間セックス回数。
昔も今もあまり統計的数字は変わらず
ざっくりフランス男性300回、米国男性150回、日本男性は30回です。
この日本人のセックス回数の少なさは、当時から認識されていたらしいのですが、
セックスしている期間の予想違っていたようです。

フランス人や米国人の統計は、15〰80歳の数字だったようですが、
日本人の数字は、もっと短期間の数字だったようです。
(たぶん20〰60歳以下くらい)

つまり日本人の性生活は、回数も少なく、期間も短かったのです。
理由は、いろいろ考えられていますが、
私が有力と思うのは、
米食説・・・日本人は、米を食べるため、ビタミンEの摂取量が
 多く、生殖能力が高い。それで数少ないセックスで生殖可能。
②参勤交代説・・・江戸時代から生殖を終えた男女は、
 別々に住むようになったため、夫婦間でのセックス回数が減った。
(参勤交代や単身赴任)
③家制度説・・・日本では結婚は家のつながりなので、
夫婦間に性生活があるかどうかは結婚制度維持に関係ないため。
➃長風呂好き説・・・日本人は、熱い風呂に長く入るのを
好む民族。これが精巣にダメージを与えている。

などでしょうか。

長風呂で思いだしましたが、
先々週くらいにNHKで”精子クライシス”という番組が放映されました。
順天堂大学の堀江教授や、独協大学越谷病院の岡田教授が出演して
日本男子の精子力が低下していることを訴えておられました。

そして最後に精子力アップ7ヶ条を提示していました。
活性酸素除去
→①軽めの運動
 ②禁欲しない
 ③亜鉛の摂取
テストステロンアップ
→➃体重管理
 ⑤質の高い睡眠(7時間程度)
その他
 ⑥ 長風呂・サウナを避ける
 ⑦びっちりした下着をはかない

なるほど~
息子には、トランクスかふんどしをすすめたほうがいいかも〰。
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